久々にインドアな一日でありました。たまにはいいもんです。
で、6/20の読売新聞に
「観光客増、荒れる世界遺産…屋久島に11年度から入山制限」という記事が載りました。
この宮沢記者という方が書いた記事が物議をかもしています。
特に現場で働くガイドは、憤慨している方も多いです。
ボクはというと、この無責任で何もリサーチしていない記事にガックリでした。
はっきり言うと、「屋久島の自然、屋久島の観光を全く理解していない」んですね。
記事を読むと一方的に「観光客」が悪者になっているんです。
いや〜、これには参りました。
「読売旅行」という読売新聞系列の旅行代理店がありますが、
もしこの記事に責任を持つならば、縄文杉へのツアーは一切行えませんね!
と、皮肉を言いたくなる感じです。
では、実際の所はどうなのかと疑問に思う方もいると思います。
現状はというと「屋久島の自然」は全然大丈夫です。ご安心ください。
問題となっているのは「トイレ」と「道」です。
つまり「自然」ではなく、「人間が利用する所」なんですよね。
じゃぁ、その「トイレ」と「道」はどうなってるの?となります。
「トイレ」はけっこう「香り」が凄いですね。
女性のお客さんはちょっとかわいそう…。
一般的な山小屋のトイレとしてはきれいな方なんですが、
日頃登山をしない人にとっては、なかなかのもんです。
じゃぁ、ちゃんと管理してきれいにすれば?となります。
そうなんです。県や町や林野庁や環境省の管轄でトイレがあるわけですが、
この管理がうまくいっていないんです。
例えば、一日に300人ぐらい山に入る日が続いても、
3週間以上全く管理しない時も多々あるんですね。
だから、「香り」が凄くなる…。
ボクらガイドは毎日のように登っていますから、その変化がわかります。
汲取&清掃した後のトイレは、超〜きれいだし、素晴らしいと思う事もあります。
つまり、「管理の怠惰」なんです。
そこに目を向けていない読売新聞の記事…。
いや〜、これで給料をもらうってのはちょいと酷いです。
本気で仕事をしてほしいなと。
批判ではなく、正直な感想です。
では、「道」はどうなの?と思う方もいるでしょう。
確かに登山道1〜2mぐらいの植物はすれ違いの時に踏まれちゃいます。
といっても、これだけ多くの登山者が来ているにも関わらず、
縄文杉ルートはここ数年はほとんど変わっていません。
逆に整備が進み、歩きやすくなっているし、道に関してはそれほどでもないと思います。
問題となるべきは、白谷雲水峡の苔の方です。
ボクが初めて来た時に比べると、道のそばにある苔はかなり少なくなりました。
「ものののけ姫の森」と呼ばれるところは、広場ができてしまったほどです。
それでも応急処理的に、木製の柵を作ったりして、これ以上は大丈夫なのではないかと。
自然を楽しみに来ている観光客ですから、
しっかりとマナーや森との接し方さえわかれば、
意図的に荒らす人は皆無に近いと思います。
ガイドがいれば、どこまで遊んでいいのか、悪いのかがわかりますが、
一般で来ている方たちは、ついはしゃいでしまうこともあると思います。
つまり、観光客への広報がうまくいってないということになります。
ボクが一番引っかかった文章は、
「激増する観光客のし尿や踏み荒らしのために、崩壊寸前だ」とまであります。
ん〜、この強い表現を見て、ボクもガイドをやっていなければ、
あぁそうなんだ。屋久島って崩壊寸前なんだ〜。と思っていたはずです。
ところがどっこい、先日おこなわれたフォーラムでは、
「自然が変わっているのか」という話題はたいした話はありませんでした。
矢原先生という方は「観光客ではなくヤクシカの食害が問題」といい、
吉田先生という方は「自然に関して言えば30年前と全く変わってません」と言ってました。
ボクもそう思います。30年前は2歳だったのでわかりませんが、
この島の自然はそう簡単には崩れないだろうと思ってます。
かなり強靭な生態系を持った島ですから。
多量の雨、南の日差し。
また「休日の入山者が1000人前後になることも珍しくない」という文章も…。
縄文杉が発見されてから、1000人の登山者に到達したのは、
昨年のGW5月4日の記念すべき、1日のみです!
今年は1000人を超える日はありませんでしたし、
900人ぐらい登った日が1日ありましが、携帯トイレ作戦やガイドの呼びかけで、
とてもスムースに登山できました。
この宮沢記者は、本当にリサーチして記事を書いたのだろうかと疑問に思います。
もしくは感情的につっぱしってしまったのかもしれません。
とまぁ、いろいろと書きましたが、屋久島が注目されていて、
さらには屋久島が色々な意味での過渡期であることは間違いないなと。
みなさんも、今後の屋久島の動きにご注目ください。